母が田舎に持っている土地を、自分が譲り受けて売ろうとしています。
母が買ったのは50年以上前。
知り合いの不動産屋さんを通して、500万円で買ったそうです。
ちょうど1年前、それを「もらってくれ」と母から言われました。
自分は「金に困ってないし、めんどくさそうだからいらない」と言いましたが、どうしてもと母が言うので、もらってやるのも親孝行の一つかと思って、引き受けました。
土地の売買をしたことはありませんでしたが、ネットで媒介を引き受けてくれる不動産さんを探して、売りに出しました。
売値は、不動産屋さんの勧めで、400万円としました。
しかし、1年経っても売れないので、「値下げして処分したい」と連絡したところ、「売値を130万に下げてよいか」と返信があり、その値下げ額に驚きましたが、了解しました。
自分は不動産嫌いなので、いくらでもいいからさっさと処分したいので。
ところで、50年前に500万したものが、なぜ130万になってしまうのか。
50年前から見ると、物価は3倍くらいになっています。
つまり、1500万相当で買った土地が、130万にしかならない。
そんなことがありえるでしょうか?
その土地の価値は、下がるどころか明らかに上がっています。
50年前、一帯はほとんど野原でしたが、今はウチの土地以外、住宅が並んでいますから。
では、なぜ?
簡単に言うと、母は不動産屋さんに騙されたんでしょう。
当時、せいぜい30万くらいだった土地を、500万で買わされたんだと思います。
仲介してくれた知り合いの不動産屋さんは、自分も覚えていますが、すごくいい人でした。
当時、小学校に入りたての自分も、何度も遊んでもらって、楽しかった記憶があります。
しかし、不動産屋としては詐欺師同然だったということです。
土地を買った後、付き合いはなくなったと記憶しています。
50年前、ウチは商売に成功して、結構な金を持っていたんでしょう。
当時のお金持ちは、みんな土地を持っていたと思います。
母も、「お金がある人」ではなく、「お金持ち」になりたかった。
そこをうまくつけこまれてしまった。
こういうことだと思っています。
母は、自分でも騙されたことにどこかで気付いたはずですが、それを認めようとしません。
「オイルショック後の不況で値下がりしてしまって売れない」とか、ずっと言っていました。
自分も、もう90歳になる母に今さら真相を問いただす気はなく、「ちょっと大きな小遣いになる土地もらった息子」をやっています。
しかし、お金を持っていることを大っぴらにすると、それをなんとかして奪おうとする人が寄ってくるのは、今も変わっていないんじゃないかと思います。
「今、もっと金が欲しくて仕方がない。金持ちからなら、少しくらい余分に貰っても構わないだろう」みたいな人、昔も今も一定の割合でいるように見えます。
自分は、そういう人間にならなくて良かった。